ノンフレーム工法について

Q&A

A-1 ノンフレーム工法とはどのような工法ですか?

ノンフレーム工法は、斜面の樹木などの植生がもつ斜面安定効果を活かしつつ、補強材と地山の相互作用によって、自然斜面全体の安定性を高める工法で、補強材、グラウト、支圧板、頭部連結材(ワイヤロープ)、によって構成されます。

工法の特長は、次のとおりです。

  1. 景観・環境保全

    法切や樹木伐採を行わずに施工しますので、施工後も元々の景観・環境が維持できます。CO2削減や、生物多様性保全にも貢献します。

  2. コスト縮減・工期短縮

    斜面を改変せずに施工するため、樹木伐採や切土・法面整形、植生工といった工程が不要です。しかも二次製品の支圧板を用いますので、工期短縮・コスト縮減が実現できます。

  3. 厳しい現場条件でも適用できる

    1.広い搬入路が不要
    切取土砂(残土)や伐採木の搬出作業がありません。
    しかも小型機械で施工できるので、搬入路が設置困難な現場でも施工できます。

    2.施工ヤードの制約が少ない
    コンクリートに頼らない工法ですので、圧送設備等が必要なく、小規模な施工ヤードで施工できます。現場との高低差や距離の制約もありません。

  4. 施工時の安全性に優れています

    従来技術の場合、法切によって地中応力が解放されたり、雨水が浸透やすくなり、施工時に斜面の安定バランスが乱れることがあります。一方ノンフレーム工法は、現況斜面のままで施工できますので、施工時にも斜面安定 性を乱しません。
    しかも二次製品の支圧板を用いますので、急斜面作業が省力化でき、作業の安全性向上に繋がります。

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A-2 適用範囲は?

基本的には、すべり面の深さが4m以下の浅層すべりに適用し、現地の地形、地質等の調査によって適用の可否および計画範囲を決定することとなります。

詳細は、ノンフレーム工法設計・施工マニュアル(H26.4版)の適用範囲(p2〜7)および、調査(p13〜23)をご参照ください。

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A-3 ノンフレーム工法は永久工法ですか?

以下のことから、永久工法といえます。

  1. ノンフレーム工法は、永久工法として採用されている鉄筋挿入地山補強土工法に準じており、永久構造物として必要な安全率を確保するよう設計しています。

  2. 補強材(ロックボルト)本体は、耐食性のある2種類以上の材料で保護されています。

    • 地中部:亜鉛めっき+グラウト
    • 地際部:亜鉛めっき+シース
    • 頭 部:亜鉛めっき+防錆油+キャップ
  3. 地上部の材料についても、支圧板は亜鉛めっき、ワイヤロープは10%アルミ・亜鉛合金めっきとしており、十分な耐久性を有しています。

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A-4 自穿孔ロックボルトを永久構造物として使用できますか?

自穿孔ロックボルトを永久構造物に使用している例は数多くありますが、ノンフレーム工法では、次のように施工品質の確保を図っています。

  1. 削孔径(ビット径)をφ50として、十分な“かぶり”を確保しています。

  2. 削孔時にスィベルを使用してエアを高圧力で大量に供給し、スライムを確実に排出させます。
    また、注入前には孔内清掃を行ないます。

  3. 削孔にレッグハンマを使用する場合は、削孔角度を保持し、また蛇行現象を防ぐため、補助レール併用を基本としています。

  4. カプラに突起を設け、一定のスペーサ機能をもたせています。

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A-5 切土斜面への適用はできますか?

切土斜面でも適用できます。
この場合、中抜け防止および表層土の侵食・流出防止のために、緑化工等の併用が必要です。

緑化工併用例

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A-6 崩壊斜面にも適用できますか?

適用できます。
ただし、切土斜面の場合と同様に、中抜け防止および表層土の侵食・流出防止のために、緑化工等の併用が必要です。

緑化工併用例

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A-7 適用できる斜面勾配の範囲は?

一般的には30°〜60°が適用範囲です。
なお、これ以上の急勾配でも、他工種との併用で適用可能な場合もあります。

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A-8 中抜け防止は必要ですか?

ノンフレーム工法は、自然斜面の崩壊防止を目的としています。
自然斜面においては、樹木根系等による土砂崩壊防止機能があるため、これによって補強材間の中抜けは防止されていると考えられます。
なお、斜面内に植生の無い裸地がある場合や、切土斜面などの場合は、緑化工等の中抜け防止対策を講じる必要があります。

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A-9 各部材は、どんな役割をするのですか?

ノンフレーム工法には、主に補強材、支圧板、ワイヤロープの3つの部材があり、次のような役割をもっています。

  1. 補強材

    想定すべり面より深い安定地盤に定着させ、地山と補強材との相互作用によって、斜面を補強して安定させる効果を発揮します。

  2. 支圧板

    補強材の曲げ抵抗力、および補強材に生じる軸力をより効果的に発揮させます。
    また、支圧板のリブにより、表層土の流出を抑制する効果もあります。

  3. ワイヤロープ

    ワイヤロープは、引き留め・荷重分散・土壌緊縛等の効果を有しています。

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A-10 鉄筋挿入補強土工法とグラウンドアンカー工法との違いは?

鉄筋挿入補強土工法とグラウンドアンカー工法との違いを、以下に示します。

  鉄筋挿入補強土工法 グラウンドアンカー工法
構造 のり面工、補強材から構成される。 アンカー頭部、引張り部(自由長部)、アンカー体(定着部)から構成される。
構造概要図
適用範囲 一般的には深さ3m程度より浅いすべりに適用される。 一般的にはすべり面が深く、大きな抑止力が必要な場合に用いられる。
斜面安定効果 地山の変形に伴って、地山に挿入された補強材の引張補強力、せん断補強力および曲げ補強力の複合的な効果によって、不安定土塊の動きをある程度拘束して斜面の安定性を向上させる工法。 アンカー体における定着地盤との摩擦や、支圧抵抗によって外力に抵抗するが、一般的にはプレストレスを与えて、アンカー体とアンカー頭部に挟まれた不安定土塊を締め付けて、不安定土塊の動きを拘束することによって、斜面の変形や崩壊を防止する工法。

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